出会い

「そんな男いない!いない!漫画や小説の見過ぎだって!」

 

 

 

私の理想の彼氏の話を聞いた会社の同期の由香がビールジョッキを勢いよくドンと置いた。

 

 

 

仕事終わりいつもの居酒屋で、由香と飲みに来ている。

 

 

 

「すいません!おかわり!!」

 

 

由香は、店員さんにジョッキを掲げ枝豆に手を伸ばした。

 

 

ムシャムシャと枝豆を食べる姿は、どこから見ても親父だ。

 

 

美人な顔が台無し。

 

 

 

「例えいたとしてもそんな男胡散臭いって!!

 

 

七美は、恋愛に対して夢見すぎなんだよ!」

 

 

 

 

枝豆を指で挟んで、ブンブンと私の顔の前で、振る。

 

 

 

 

おかわりのビールが運ばれてきて、ゴクゴクと喉を鳴らして、ビールを飲み「プハッー!」と息を吐き出した。

 

私は、チビチビとビールを飲む。

 

 

 

「そんなことばっか言ってたら、ろくな男に引っかからないわよ。」

 

 

 

ムカッ!!!!

 

 

 

「そんなことないもん!!」

 

 

 

私は、キッと由香を睨みつける。

 

 

 

私に睨まれても涼しい顔の由香。

 

 

 

「章司は、私の理想で、自慢の彼氏だもん!!」

 

 

 

章司とは、付き合って、半年。

 

 

 

出会いは、合コン。

 

 

4つ年上の章司に私は、一目惚れした。

 

 

優しくて、大人で社会人に成り立ての私には、より一層輝いて見えた。

 

 

大手一流企業の社員。

 

 

高学歴、高身長、高収入。

 

 

 

何もかも完璧。

 

 

 

将来の相手は、章司しかいないって思ってる。

 

 

章司も私との結婚を考えてくれてるはず。

 

 

 

だって、あんなに優しいんだもん。

 

 

「へ?。」と由香は、全然興味無さげ。

 

 

由香も章司のことは、知っている。

 

 

章司と出会った合コンには、由香も来てたから。

 

 

合コン中ずっとハートマークで章司を見つめる私に由香は、呆れてたよね。

 

 

 

そして、そのまま章司にお持ち帰りされて一夜を過ごした。

 

 

章司は、とっても優しく抱いてくれた。

 

 

それで、ますます惚れたんだよね。

 

 

朝起きて、「付き合おっか!」って笑ってくれた章司に嬉しすぎて抱きついた。

 

 

これが章司と私との始まり。

 

 

 

ブーブーブー。

 

 

 

テーブルの上で、震えるスマホ。

 

 

 

あっ!!!

 

 

噂をすれば章司だ!!!

 

 

慌ててスマホを手に取り由香をチラッと見る。

 

 

由香は、呆れ顔で手の甲を上に向けヒラヒラと動かし「出たら?」と目だけで伝える。

 

 

 

私は、顔の前で手を合わせ急いで電話に出た。

 

 

 

「もしもし!?章司!?」

 

 

私の高い声に目の前の由香が怪訝な顔をする。

 

 

『七美?今どこ?』

 

 

キューーーン。

 

 

スマホ越しに聞こえる章司の甘い声。

 

 

 

「今由香と飲んでる!いつもの居酒屋で!」

 

 

 

章司からの電話に顔のニヤつきが止まらない。

 

 

 

『そっか。七美…会いたい…』

 

 

もうキュン死する!!

 

 

 

可愛い!!章司可愛い過ぎ!!!

 

 

 

「うん!!私も!!すぐ行くね!!」

 

 

 

私は、緩んだ顔のまま電話を切った。

 

 

 

「すいませーん。お会計お願いします。」

 

 

由香が手をあげて、店員さんを呼んだ。