フラれて退職する女

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「おはようございまーす!!」

 

 

私は、元気に挨拶を交わす。

 

 

「おはよ。何?最近機嫌いいじゃん。」

 

 

隣の席の柴崎さんが私に声をかける。

 

 

ムフフ!!

 

 

最近の私は、絶好調!!

 

 

章司と上手くいってることはもちろん、なんて言ってもあの鬼課長が出張で、一週間もいないなんて!!

 

 

 

最高としか思えない!!

 

 

 

ザワザワ。

 

 

ん?

 

 

なにやらフロアの様子がおかしい。

 

 

みんなコソコソと集まって、お喋りしてる。

 

 

何?

 

 

どうしたんだろ?

 

 

 

「みんなどうしたんですかね?」

 

 

コソッと柴崎さんに耳打ちした。

 

 

柴崎さんは、パソコンから顔を上げてフロアをぐるっと一周見た。

 

「あー。最近噂になってる課長のアシスタントのことじゃない?」

 

 

課長のアシスタント?

 

 

 

「課長のアシスタントって?」

 

 

 

私の問いに目を見開いて、ビックリする柴崎さん。

 

 

 

「えっ!?何も知らないの!?これだけ噂になってるのに!?」

 

 

 

な、何!?

 

 

そんな噂になってるの?

 

 

私って興味のないことには、全く関心が無いからな?。

 

 

柴崎さんは、やれやれといった表情で、少し椅子を動かし私に顔を近づけた。

 

 

「課長のアシスタントの塚本さんいるでしょ?」

 

 

ボソッとみんなに聞こえないように話す。

 

 

 

私は、首だけを縦に振る。

 

 

 

「突然辞めたんだ。噂では、課長にフラれたとかで…」

 

へー。

 

 

塚本さんって、課長のこと好きだったんだ。

 

 

塚本さんは、二年先輩で仕事も出来て、けっこう美人だった。

 

 

あの冷たい課長のどこがいいんだろ?

 

 

「それで、急にアシスタントが抜けたからこの部から誰かが課長のアシスタントになるだろうってなってる。

 

課長の仕事量は、半端ないからやっぱりアシスタントは、必要だろうって。

 

直接課長と仕事が出来るから凄く勉強にもなる。」

 

 

ふーん。

 

 

あの鬼課長と一日一緒だと思うだけでブルッと寒気がする。

 

 

まぁ。私には、関係ないけど…

 

 

 

「噂では、すみれさんだろうって言われてる。」

 

 

 

柴崎さんは、チラッとパソコンに向かうすみれさんを見た。

 

すみれさんと塚本さんは、同期ですみれさんは、塚本さんに負けないくらい仕事も出来て、美人だ。

 

 

女王様っぽいイメージのすみれさんは、みんなからなぜか苗字ではなく名前で呼ばれている。

 

 

まぁ。すみれさんなら課長のアシスタントになってもおかしくないか。

 

 

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しばらく書類作りに熱中していて、「うーん。」と伸びをした。

 

 

コーヒー淹れて来よう。

 

 

「柴崎さん。コーヒーいります?」

 

 

カタカタとキーボードを叩きながら「ああ。ありがとう。」と一瞬だけ私を見た。

 

 

私は、一人給湯室に向かう。

 

 

給湯室に入るとすみれさんとその取り巻き達。

 

 

「お疲れ様です。」

 

 

挨拶を交わす私を完全無視で、お喋りに夢中な先輩達。