アシスタント

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週が明け今日から課長が出社する日。

 

 

心なしかみんなソワソワしてる。

 

 

 

「みんなおはよう。大事な話がある。

 

その場でいいから少し聞いてくれるか?」

 

 

 

部長の声がフロアに響く。

 

 

部長の横には、久しぶりの課長の姿。

 

 

黒の細身のスーツをビシッと着こなし真っ黒な髪もしっかりセットされている。

 

 

どこから見ても完璧だ。

 

 

切れ長の目は、鋭く笑顔なんて、見たことない。

 

 

 

犬に例えると柴崎さんや章司がゴールデンレトリーバーだとしたら課長は、ドーベルマンって感じ。

 

 

犬に例える意味もわかんないけど。

 

 

どうでもいいことを考えながら部長と課長をジッと見つめた。

 

「須藤課長のアシスタントの件なんだが…」

 

 

 

やっぱりその話か…

 

 

 

みんなチラチラとすみれさんを見る。

 

 

 

すみれさんは、ニヤける口を抑えきれず密かに笑っている。

 

 

 

あー。お腹空いたなー。

 

 

 

「塚本が急に退職したので、急な話だが…」

 

 

 

今日由香でも、誘って飲みに行こっかな?。

 

 

 

「一ノ瀬。君に課長のアシスタントをしてもらう。」

 

 

章司にも会いたいな?。デヘヘ。

 

 

「一ノ瀬!」

 

 

 

この前会ったばっかりなのに私ったら!!

 

 

ムフフ。

 

 

「一ノ瀬!!!」

 

 

 

「ちょ、ちょっと七ちゃん!」

 

 

ん?

 

 

柴崎さんが私を慌てて振り返る。

 

キョトンと柴崎さんを見つめた。

 

 

「一ノ瀬七美!!!!」

 

 

ひっ!!!!

 

 

部長の大きな声に肩がビクッと跳ね上がる。

 

 

「は、はい!!」

 

 

慌ててその場で、立ち上がった。

 

 

 

部長が怪訝な顔で、私を見る。

 

 

 

その横には、無表情な課長の顔。

 

 

「ちゃんと聞いてるのか?君が今日から須藤課長のアシスタントだ。」

 

 

はっ????

 

 

今なんと???

 

 

 

私が?

 

 

課長の…?

 

 

 

アシスタント!!!!!???

 

 

 

「えっ!?あの!えっ!?」

 

 

 

完全にテンパる私。

 

 

 

「とりあえず詳しいことは、須藤課長から聞いてくれ。

 

以上だ。」

 

 

 

部長は、そう言うと自分のデスクについて、もう知らん顔。

 

ザワザワとザワつき出す周り。

 

 

ちょ、ちょっと待って!!!

 

 

 

なぜ私!!!?

 

 

 

「御愁傷様。」

 

 

 

その場に立ち尽くす私に柴崎さんがボソッと呟いた。

 

 

 

わけわかんない!!!!

 

 

 

なんで!!?

 

 

 

「一ノ瀬。会議室まで。」

 

 

課長は、一言そう告げて、フロアを後にした。

 

 

私を見てヒソヒソと囁く声。

 

 

「うそ?なんで?」

 

 

「すみれさんじゃないの!?」

 

 

 

「なんであの子?」

 

 

 

私が聞きたいよ!!!!

 

 

 

チラッとすみれさんを見ると鋭く睨みつける目と目が合った。

 

 

怖っ!!!

 

 

 

ほんと最悪…

 

 

私は、負のオーラ満開で、会議室へと向かった。