尊敬

______
____

 

 

コンコン。

 

 

「失礼します。」

 

 

私は、恐る恐る会議室のドアを開けた。

 

 

ドアの向こうには、恐ろしく長い脚を組んで書類に目を通す課長の姿。

 

 

キリッとした切れ長の目は、真剣に書類を見つめる。

 

 

 

くそー。

 

 

 

こうやって見たらほんとにかっこいいのよね。

 

 

 

悔しいけど…

 

 

 

課長は、書類から顔を上げた。

 

 

 

鋭く私を見つめる目にピシッと体が固まった。

 

 

 

「このデータ一時間で、まとめて。」

 

 

 

バサッとテーブルの上に置かれる資料の山。

 

 

 

「はい?」

 

 

 

つい間抜けな声が出た。

 

 

「聞こえなかった?このデータ…」

 

 

「いえ!聞こえてます!」

 

 

私は、課長の言葉を止めた。

 

意味わかんない!!

 

 

いきなりアシスタントって言われて、何の説明もなし!?

 

 

しかもこの大量の資料を一時間で!!?

 

 

頭おかしいんじゃないの!?

 

 

鬼!!!サド!!!

 

 

「ボーと突っ立てていいのか?後58分しかないぞ。」

 

 

お高そうな腕時計をチラッと見て、クスッと笑った。

 

 

ムッカーー!!!!

 

 

「失礼しました!!!」

 

 

バン!!!

 

 

私は、勢いよくドアを閉めた。

 

 

ドカドカと鼻息荒く廊下を歩く。

 

 

くっそーー!!!!

 

 

あいつ絶対部下のこと虐めて楽しんでる!!!

 

 

 

みんなあんな腹黒のどこがいいの!!!?

 

 

 

大量の資料を抱えてフロアに戻った。

 

 

 

みんなは、もうパソコンに向かい何事もなく仕事をしていた。

 

ドサッとデスクに資料を下ろした。

 

 

はぁ。

 

 

急がないと!!

 

 

また、あいつに嫌味言われる!!

 

 

ドカッと椅子に座って、パソコンと向き合う。

 

 

 

「うわっ!何?その大量の資料。」

 

 

横から柴崎さんの同情の声。

 

 

 

「柴崎さん。今話しかけないで下さい。」

 

 

 

目を血走らせながらパソコンに向きカタカタとキーボードを夢中で、叩く。

 

 

 

終わらせてやる!!

 

 

 

あの鬼め!!!!

 

 

 

見てろよ!!!!

 

 

 

________

 

 

 

「終わった?!!」

 

 

チラッと腕時計を見るとタイムリミットの1分前。

 

 

急いで課長のデスクに向かう。

 

 

カタカタと物凄い速さでキーボードを叩く課長。

 

 

はやっ!!!

 

 

 

すっご!!!!