姉妹

私の気配に気付いた課長がパソコンから顔を上げる。

 

 

鋭く冷たい目が私をとらえる。

 

 

その整い過ぎてる顔が余計冷たく感じるんだろうな。

 

 

「出来ました。」

 

 

私は、まとめた資料を課長に差し出した。

 

 

課長の綺麗な指がそれを受け取る。

 

 

パラパラと目を通しチラッと私を見た。

 

 

「フッ。じゃあ次は、これ今日中に提出して。」

 

 

容赦なく目の前にさっきとは、倍以上の資料が積み上げられる。

 

 

 

はい!!!?

 

 

信じられない!!!

 

 

 

資料の束を見て唖然とする私を口角を上げ不敵に微笑んだ。

 

 

 

「以上だ。」

 

 

それだけ言うともう知らん顔で、カタカタとキーボードを鳴らす。

 

 

鬼!!!悪魔!!!

 

 

 

舌噛んで死んじゃえ!!!!!!

 

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____

 

 

「疲れた?」

 

 

最寄りの駅に着いて、トボトボと家までの道を歩く。

 

 

あの鬼のせいで、久しぶりの残業だった。

 

 

「いらっしゃいませ?」

 

 

コンビニ店員のヤル気のない声を聞き流しアルコールコーナーまで一直線。

 

 

もう家まで待てない。

 

 

「プッハー!!!美味い!!!」

 

 

コンビニの前で、腰に手を置きゴクゴクとビールを喉に流し込んだ。

 

 

「ちょっと?!親父じゃないんだから?!」

 

 

背後から聞こえる声に振り返る。

 

 

「お姉ちゃん!!」

 

 

 

そこには、苦笑いで腰に手を当てるお姉ちゃんの姿。

 

 

________

 

 

「お邪魔しまーす!!」

 

 

お姉ちゃんは、私の一人暮らしのマンションに入るとドカッとソファに腰を下ろした。

 

 

「私にもビール頂戴!!」

 

 

冷蔵庫からビールを取り出す私に声を上げた。

 

「ありがとう!」

 

 

ビールを差し出す私にフワフワ可愛いらしい笑顔を向けて、ゴクゴクとビールを喉に流し込んだ。

 

 

「はぁーー!!!最高!!」

 

 

そう言うとソファの上で胡座をかいた。

 

 

自分だって、十分親父じゃん。

 

 

「そんなことしてたら海斗さんに嫌われるよ?」

 

 

海斗さんとは、お姉ちゃんの彼氏。

 

 

二個上のお姉ちゃんは、妹の私から見ても可愛い女性で、守ってあげたくなるタイプ。

 

 

お母さん…どうして私もこんな風に生んでくれなかったの?

 

 

生まれつきキツイ顔で、初対面の人には、よく怖がられてきた。

 

 

身長も165pと女の子にしては、高い方だと思う。

 

 

お姉ちゃんは、153pくらいしかなく小柄だ。

 

 

正反対の私たち姉妹は、本当に姉妹なのかとよく言われた。

 

私は、キツイ見た目とは、違って中身は、甘ったれで泣き虫なのだ。

 

 

「海斗は、優しいからこんな事で嫌いにならないよーだ!」

 

 

そう言って、ベーと私に舌を出す。

 

 

お姉ちゃんが言うように海斗さんは、本当に優しい。

 

 

イケメンで、身長も高くて、エリートでまさに完璧。

 

 

その完璧な彼氏とお姉ちゃんは、もう四年ほど付き合ってる。

 

 

私は、そんな二人が羨ましくて、昔から海斗さんには、憧れていた。

 

 

だから知らず知らずのうちに海斗さんみたいな男性を探すようになった。

 

 

 

お姉ちゃんは、ビールをテーブルに置いて、何か言いたそうに私を見た。

 

 

お姉ちゃんの目が泳ぐ。

 

 

「どうしたの?何か相談?」

 

 

テーブルを挟んで、ソワソワするお姉ちゃんの前に腰を下ろした。